県南エリア
平和への願いを語り継ぐ世界遺産「平泉」をはじめ、歴史と文学と温泉が楽しめるディープエリア
花巻市 北上市 遠野市 一関市 奥州市 西和賀町 金ヶ崎町 平泉町
地勢・気候
南北にのびる奥羽山脈と東側に広がる北上高地に挟まれた北上盆地を中心に広がります。一日の寒暖差が大きい内陸性の気候で、冬は日本海側からの季節風の影響を受けて降雪日が多くなります。特に奥羽山脈のふところに位置する西和賀町は、岩手県の中でも最も積雪量の多い豪雪地域。北日本雪合戦大会など、雪国ならではのスポーツが楽しめる地域です。
夏はフェーン現象の影響で猛暑になる日もありますが、山と森と川に囲まれた自然が心地よい風を届けてくれるエリアでもあります。
その県南地域を南北に流れる北上川は全長249km。豊かな水量が潤す北上平野は県内随一の米どころです。奥州藤原氏が平和への願い、浄土世界目指した「平泉」は、この豊かな実りの大地と、3億年以上の大昔に形成された北上山地から産出した金などの鉱物資源に支えられ、世界に誇れる文化がとして花開きました。また、花巻温泉郷や須川高原温泉など豊富な湯量の温泉、高山植物の宝庫・早池峰山をはじめ、栗駒山、和賀岳などの山々、水墨画のような景観を見せる渓流など、豊かな自然郷と温泉が楽しめる地域でもあります。
交通
東北自動車道、東北新幹線が縦貫するエリアで、アクセスはとても便利です。秋田自動車道、釜石自動車道が県中央部を横断し、車での移動もスムーズ。
いわて花巻空港はこのエリアにあり、名古屋・大阪・福岡・札幌の直行便が運航しています。
スポーツ
食
県内一の米どころですから、おいしい白飯が自慢。花巻周辺は健康食として見直されている雑穀の産地でもあり、無農薬で育てた雑穀入りのごはんを定食や朝ご飯で出す店や宿もあります。小麦粉のかわりにヒエ粉を用いた花巻ひえカレーといったご当地カレーも人気です。
一関・平泉周辺では、正月だけでなく、季節の節目やお祝いごとなどに「もち」をつき、食べる習慣があります。江戸時代、この地を治めていた伊達藩の命により、月に二度もちをついて神様に供えたことに由来するといわれるもち文化です。あんこやきなこ、ゴマ、くるみ、ずんだなど昔ながらの味に加え、沼エビやどじょうなど味のバリエーションが豊富。今では300種類ほどあるといいます。あらたまった席で供される「もち本膳」には食べ方の作法などもあり、珍しい食文化に注目が高まっています。
また、小麦粉を練ってのばした生地をゆであげ、大根やにんじんなどの野菜と煮込む「はっと」という小麦粉料理があります。奥州市周辺では「はっと」と呼びますが、「ひっつみ」「すいとん」「とってなげ」など、地域によって呼び名が異なる岩手の代表的な郷土料理です。はっとを使った創作料理を提供するレストランもあります。
宿
伝統芸能・行事
県南エリアには、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の無形文化遺産「早池峰神楽」をはじめ、鹿踊り、鬼剣舞、田植え踊りなど多彩な郷土芸能が伝承されています。地域の信仰に深く根付いていて、日々の暮らしの合間に修練を重ね、地元の神社の祭礼で舞を奉納したり、家々を回って祈祷や祝福の舞を舞ったりと、昔ながらの風習とともに受け継がれています。それらの多くは祭りや秋冬などに催される競演会で見ることができます。大会のアトラクションや首都圏などで公演する機会も増えてきましたが、伝承の地を訪れ、季節の風景や空気、音、光、風、香りを五感で感じ、地元の人たちと一緒に祈りながら郷土芸能が楽しめるのもこの地ならではの魅力といえます。
天台宗の高僧、慈覚大師が創建したと伝えられる毛越寺には、国の重要無形民俗文化財指定の「延年の舞」が伝承されています。正月二十日の夜に行われる祭礼や春・秋の祭りの日に長寿延命を願い、幽玄優美な舞が奉納されます。日本を代表する庭園と合わせ、奥州藤原氏が願った浄土世界に思いを馳せてはいかがでしょう。